お産の現場に直に関わる職種として、産婦人科医と助産師がいます。両者の役割は重なる部分もありますが、異なる部分もあり、無事に出産を終えられるよう、お互いがお互いをサポートしあっています。共通点と相違点を比較しながら書いてみます。

 

まず、産婦人科医も助産師も、国家資格を持った専門職です。産婦人科医は、医学部で6年間学んだ後に医師国家試験を受けて医師となり、そこから2年間の初期臨床研修を終え、3年目から「産婦人科専攻医」となります。ここで3年間の修行を終えると、「産婦人科専門医」の受験資格が得られ、この試験に合格すると、一応は一人前の産婦人科医とみなされます。医学部入学からトータルで12年目のことです。

一方、助産師は看護師の資格を取った後、1年間の助産師専門コースを修了したのち、助産師国家試験に合格するとなれます(4年制の大学では看護師と助産師の国家試験を同時に受けられる場合もあります)。「専門助産師」のような制度はなく、卒業後、臨床で経験を積んで、一人前の助産師になっていきます。

「資格」という点での大きな違いは、医師は男性でも女性でもなることができますが、助産師は日本では女性しかなれません(助産師国家試験の受験資格に「女性であること」と盛り込まれています)。ただし、海外では男性が助産師になれる国も存在します。

 

仕事内容としては、産婦人科医も助産師も「安全に出産を終える」ことが目的です。両者とも妊婦健診を行ったりお産に立ち会ったりすることができますが、大きな違いは、助産師は「正常妊娠」のみ取り扱うことができる、ことに対して、産婦人科医は「正常妊娠」も「異常妊娠」も扱うことができる、という点です。

妊娠から出産まで何のトラブルもなければ、基本的に産婦人科医の出番はほとんどありません。全て、助産師に任せることができます。ただし、赤ちゃんが異常に大きい、または異常に小さい、血圧が急激に上昇してきた、赤ちゃんの心音が低下している、など、正常から逸脱してきた場合は、産婦人科医の出番になります。

陣痛促進剤を使ったり、鉗子分娩や吸引分娩を行ったり、さらには帝王切開をすることができるのも産婦人科医のみです。そのかわり、何のトラブルもない普通の経膣分娩の場合は、助産師の方が扱いが上手かったりします。そんなとき、産婦人科医は最後に顔を出して、「おめでとうございます」と言って終了です(笑)。

 

出産が終わった後、産婦人科医の役割は大幅に減ります。それに対して、助産師の果たす役割がますます重要になってきます。出産後のお母さんの体調管理をしたり、授乳や沐浴の方法を伝えたり、おっぱいのケアをしたり、つきっきりで対応する一方、生まれたばかりの赤ちゃんのケアも行います。乳腺炎などを起こした場合は、そのケアを行ったりもします。退院前には自宅での子育ての方法を説明したり、退院した後もフォローをしたり、赤ちゃんとお母さんに密接に関わっていきます。

 

また、産婦人科医院(病院)と助産院の違いですが、病院は医師が開設しているのに対し、助産院は助産師が開設しています。正常妊娠であれば助産師が全て対応できるので、助産院で出産をすることも可能です。ただし、いつ、何が起こるか分からないのがお産ですので、そういった場合に備えて、助産院は必ずどこかの産婦人科医院と提携しています。何かあった場合には、そこの病院の協力を仰ぐことになります。

産婦人科医院では、正常妊娠はもちろんのこと、異常があった場合の対応も行えます。ただし、病院の規模によってできる範囲が変わってきます。規模が大きい病院の方が、より大変な状況に対応できることが多いです。

 

最後に付け加えていうなら、産婦人科医は「産科」だけでなく「婦人科」も診ることが多いです(産科に特化している場合もあります)。また、最近では「不妊」を扱うことも増えてきました。

 

以上、産婦人科医と助産師の違いについてみてきました。やれることに多少の違いはありますが、どちらも「産科チーム」のメンバーの一員です。情報はチーム内で共有され、安全なお産に向けてチーム一丸となって動いていきます。何か困ったことや聞きたいことがあったら、誰か一人、話しやすい人を見つけて、まずは話をしてみるのがいいかもしれません。

制作著作:日本はぐケア協会