人間の情報のインプットは8割が視覚からと言われます。ですが、お腹の中にいる赤ちゃんは、当然のことながら、外の世界を見ることはできません。その代わり、耳を使って、これから生まれていく世界がどのようなものなのか、興味津々に聞いていると言われています。今回は、胎児の聴覚についての話です。

胎児はいつから外の音が聞こえる?

■胎児の聴覚

形としての耳ができあがるのは妊娠10週(3ヶ月)頃ですが、神経を介して脳としっかり繋がり、「聞く」という機能を獲得するのは妊娠20週を過ぎた頃(6ヶ月に入った頃)からといわれています。妊娠20週というと、頭の直径は約5cmでミカンくらい、身体の大きさは缶コーヒーくらいです。そんな小さい頃から、すでに色々な声や音を聞いているなんて、なんだかちょっと驚きですね。

■胎児に聞こえる世界

お腹の中の赤ちゃんが最もよく耳にする音は、お母さんの「心音」と「血液が流れる音」だといいます。心臓の鼓動にあわせて血液が流れ、胎盤を介して赤ちゃんに酸素や栄養を送ってくれています。赤ちゃんにとってはまさに、「命を運ぶ音」になるわけです。そんな血液の流れは、「ザッ、ザッ、ザッ、ザッ・・・」と聞こえてきます。イメージが湧きにくいかもしれませんが、神社をお参りするときに敷き詰めてある玉砂利の上を歩く音、を思い浮かべて頂ければいいかと思います。

■どんどん話しかけよう

妊娠20週過ぎから耳が聞こえると言うことは、お腹の中にいる時期の後半は、あかちゃんはずっと色々な音を聞いて育っていることになります。ですので、妊娠中は遠慮なく、赤ちゃんに話しかけてあげましょう。自分の命を育んでくれているお母さんの声をたくさん聞けることは、赤ちゃんにとっても嬉しいことのはずです。
そして、お父さん! お父さんこそ、お腹の中の赤ちゃんに積極的に話しかけて下さい! 赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいるので、お母さんの声は嫌でも聞こえてきます。ですが、仕事などで四六時中、一緒にいることのできないお父さんの声こそ、ぜひ、赤ちゃんに聞かせてあげて下さい。お父さんが積極的に話しかけておくと、赤ちゃんがその声になじむので、生まれてきた後にお父さんが話しかけても泣かない、という話もあります。夫婦間のコミュニケーションにもなりますので、ぜひ、お腹に手を当てて赤ちゃんの動きを感じつつ、「おはよう」でも「ただいま」でも「おやすみ」でも何でもいいので、赤ちゃんとの「会話」を楽しんでみて下さい。

胎児に音楽を聞かせるメリット

もちろん、声かけだけでなく、周りの環境の音も聞こえています。一日中、騒がしいところにいるよりは静かなところの方が落ち着けると思いますし、ゆったりとした音楽を聴くのもいいことだと思います。
人間は好きな音楽や落ち着く音楽を聴くとα波という脳波が出現します。心身ともにリラックスしている状態です。ストレスがいっぱいの状態よりもリラックスできている方がいいですよね。α波が出る環境に身を置くことは、心身ともに良いことです。音楽を聴くことで赤ちゃんの脳にα波が出ているかどうかは分かりません。ですが、「ザッ、ザッ、ザッ、ザッ・・・」という、お母さんの落ち着いた心音の向こうからかすかに聞こえてくる、ゆったりした音楽・・・。お母さんがリラックスできる環境であれば、おそらく赤ちゃんも一緒にリラックスしてくれていると思いませんか?

胎児に聞かせたい音楽

基本的に、あれはだめ、これはだめ、というものはありません。お母さんがリラックスすることで赤ちゃんも一緒にリラックスすることが大前提です。ですので、自分が好きな音楽を聴くのが一番です。「○○は胎教にいいと言われているから」といって、好きでもない音楽を我慢してまで聴く必要はありません。

それでも、あえてというなら、以下のようなものはいかがでしょうか。

■クラシック

言わずとしれた定番ですが、長い年月を経て残っているものだけに、どれを聴いても間違いはありません。「モーツァルトはα波が出やすいので胎教にいい」などといわれることもありますが、基本、何でもOKです。ただ、これまでクラシックにほとんど触れてこなかった方は、これを機に、お腹の中の赤ちゃんと一緒にクラシックデビューしてみるのもいいかもしれません。赤ちゃんに「どの曲が好き?」などとたずねながら選ぶのも楽しいですよ。

■童謡、民謡、子守歌

日本の伝統音楽だって負けていません。「春の小川」、「あめふり」、「海」、「もみじ」、「ふるさと」、「お正月」など、遠い昔に聴いてかすかに記憶に残っている歌や曲はありませんか? そんな曲を思い出し、自分が子どもの頃に歌ってもらった情景を思い浮かべながら、今度はお腹の赤ちゃんに歌ってあげるのも素敵なことですよね。

■ヒーリングミュージック

リラックスしたいときや瞑想のときなどによく聴かれる音楽です。α波が出やすいように工夫されているものもありますし、波の音や小川のせせらぎなどが一緒に録音されているものもあります。ちょっと一休みしたいときなど、こんな音楽をかけて目を閉じ、小川のほとりで生まれてきてくれた赤ちゃんと一緒に昼寝している自分、みたいな姿を想像してみるのもいいかもしれません。

まとめ

目を閉じると周りの音に意識が向きますよね。お腹の中の赤ちゃんは、まさにそのような状態です。声をかけたり、素敵な音楽を聴いたり、夫婦仲良く過ごしていると、赤ちゃんもきっと安心して大きくなってくれることと思います。

著作:日本はぐケア協会