妊娠している女性にとって、お腹の中の赤ちゃんの状態やご自分の体調などは、常に気になることだと思います。ましてや、妊娠中のセックスなどとんでもない、と考えている人も少なくないかと思います。

お腹の中の赤ちゃんはかけがえのない存在です。無事に生まれてきてほしいという気持ちの表れでもあると思います。
ですが、それに負けず劣らず、妊娠中の夫婦のコミュニケーションも大切です。もちろん、セックスだけがコミュニケーションではありませんが、今回はそのコミュニケーションの一手段として、妊娠中のセックスは大丈夫なのか、書いてみます。

妊娠中のセックスはOK? NG?
■妊娠中でもOK!

結論から言うと、妊娠中でもセックスすることに問題はありません。
大切な赤ちゃんは、お腹の中では子宮や羊水で守られています。ですので、無理をしない限り、基本的には赤ちゃんにそれほど大きな負担はかかりません。

ただ、妊娠には大まかに初期、中期、後期とあり、それぞれお母さんや赤ちゃんの状態も違います。時期や状態に応じた対応が必要です。

妊娠中のセックスの注意点
■体位に注意

初期のころはお腹もほとんど出ていませんので、体位などには特段、注意を払う必要はありません。
しかし、中期を過ぎたころからはだんだんとお腹も大きくなり、子宮そのものの重量も増えてきます。仰向け(いわゆる正常位)では、この大きくて重い子宮がお腹の中の太い血管(腹部大静脈)を圧迫し、心臓に戻る血液をせき止めてしまいます。

結果として急激に血圧が下がり、気持ち悪くなったり意識を失ったりする場合も出てきます(仰臥位低血圧症候群)。
この状態が長く続くと、お腹の中の赤ちゃんへ運ばれる酸素も減ってしまいます。これを避けるためには、仰向けでなく横向きやうつ伏せ(いわゆる、バック)、あるいは女性上位(いわゆる、騎乗位)など、女性自身が苦しくない体位を選ぶとよいと思います。正常位で男性が上から体重をかけるなどというのはもってのほかです。

■こんなときは病院へ!
  • 出血している
  • お腹の張りを感じる
  • 膣から水が出てきた(破水したかも)

妊娠中の子宮は普段に比べて柔らかく、また子宮の中を流れる血液の量も多くなっているので、ちょっとしたことで出血します。

セックスの途中(あるいは終了後)に膣から出血があったら、直ちに中断して、なるべく早く病院に連絡してください。妊娠初期であれば流産、中期から後期であれば早産になってしまう可能性もあります。
特に若い方に多いですが、妊娠していない時と同じ感覚で激しくセックスすると、出血することがよくあります。初期であっても妊娠しているんだということを念頭に置き、赤ちゃんと自分の体をいたわるようにしてあげてください。

また、お腹が張っている感覚も要注意です。お腹が張る=子宮が収縮しているということで、こちらも放っておくと流産や早産の原因になります。そこまで悪化しなくても、その手前の状態(切迫流産、切迫早産)で入院となる場合もあります。同じく、無理や我慢は禁物です。

破水したかも!という場合は、たとえ真夜中であっても直ちに病院に連絡してください。最悪、そのまま陣痛が始まってお産になってしまう可能性があります。赤ちゃんが、生まれてくる準備が十分に整っていないと、同じく流産や早産、最悪の場合には死産になってしまうこともあります。迷ったら、とにかく直ちに病院に電話!です。

■コンドームは必須

「コンドームは避妊のためのもの」と思っていませんか? 
妊娠中は、当たり前ですが、膣内に射精(いわゆる、中出し)をしても、さらに妊娠することはありません。「だからコンドームは要らない」と考える人もいるようですが、コンドームのもう一つの重要な役割として「感染予防」があります。

妊娠中は免疫力も低下しており、普段より感染に対して弱くなっています。そんな状態で、コンドームを使わずにセックスをすると、普段であればなんともない菌が子宮の出口に感染し、先ほどの出血やお腹の張り、破水などの原因となります。

「妊娠中のセックスのコンドームは、お腹の中の赤ちゃんをばい菌から守るためのもの」と認識して、しっかりつけるようにしてください。

そもそも、したい? したくない?

男性の場合、パートナーが妊娠しても自分の状態はいつもと変わらないため、基本的に性欲も変わりません。ですが、女性は妊娠に伴いホルモンのバランスが変化するため、性欲は減ることが多いです(逆に増える場合もありますが、人それぞれです)。
自分がセックスをしたくないときに無理をする必要はありません。妊娠中の女性の一番の役割は、無事に赤ちゃんを産むことです。パートナーにはきちんと話をして、理解してもらいましょう。それが難しいときは、病院で医師や助産師さんに相談し、「病院でセックスを控えるように言われた」と言ってしまえばOKです(笑)。

そうは言うものの、妊娠中のセックスは夫婦間の絆を強めてくれます。また、女性自身が幸福感を感じると、いわゆる「幸せホルモン」が胎盤を通じて赤ちゃんにも伝わり、赤ちゃんも幸せを感じてくれる、という話もあります。
挿入してピストン運動をすることだけがセックスではありません。お互いが無理をしない方法を探してみてください。

まとめ

妊娠中のセックスは決してNGではありません。むしろ、夫婦関係や、出産後の家族関係に良い影響を与えるという面もあります。
ですが、いつもと同じ感覚でセックスしていると、思わぬトラブルを招くこともあります。注意すべきところには注意をして、無理せず、妊娠生活とセックスライフと、両方を楽しんでみてください。