前回、「人を傷つけた場合」と「人のものを壊した場合」の基礎知識をお伝えしました(参照:知っておきたい法律知識vol.1)。

今回は、生活に役立つ法律基礎知識(相続編)をお伝えしていきたいと思います。

本コラムは20~40代の方が多くお読みとのことで、まだ相続は遠い話に感じるかもしれませんが、親御さんや配偶者の万が一の時の為に正しい基礎知識を身につけておきましょう。

分かりやすくご説明するために、情報が不足する場合もあるかと思います。
基礎知識としてご理解いただければ幸いです。

1. 相続とは

人が亡くなった際に、亡くなった方の財産(負債含む)を配偶者や子供などの相続人が受け継ぐことを言います。

2. 相続財産とは

相続財産とは、亡くなられた方が所有していた財産のことを言います。
「何が財産なのか」という疑問にお答えするために、簡単にですが以下に整理してみましたのでご参考にされてください。

<プラスの財産>
  • 不動産(土地、建物、農地、店舗、借地権、借家権など)
  • 現金、預貯金、貸付金、売掛金
  • 株式、有価証券、小切手など
  • 動産(自動車、骨董品、宝石、貴金属、美術品、盆栽、家財など)
  • そのほか(損害賠償請求権など)
<マイナスの財産>
  • 負債(借金、住宅ローンなど)
  • 税金関係(未払いの所得税や住民税など)
  • そのほか(未払いの家賃や医療費など)

3. 相続税がかからない範囲

相続税は全員が支払うものではありません。
相続財産が、一定の額(基礎控除額)より少ない場合は、相続税の支払い義務はありません。

基礎控除額をどのように計算するかというと、下記の数式で求められます(平成29年現在)。
3000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人が3人の場合、
3000万円+600万円×3人=4800万円
となりますので、相続財産の合計額が4800万円未満であれば相続税の支払いは必要ないということになります。

しかし相続税の計算をする際、法定相続人の計算や相続財産の評価方法などを間違えると、本来申告が必要なケースで申告をせずに追徴税が課せられるケースもあり得ます。
一般の方が相続税の計算をするのは難しいですので、相続税の計算および申告については、税理士にご相談ください。

4. 相続放棄について

相続放棄とは、亡くなった方の財産を受け継がないということです。
基本的には、故人が亡くなってから3カ月以内に故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して「相続放棄申述書」を提出しなければなりません。

相続放棄の手続は、亡くなった方が多額の負債(借金など)を抱えている場合がほとんどです。

相続放棄の手続に関しては、裁判所への書類提出が必要となり、また、相続放棄までに相続人の財産を処分してはいけないなどのルールがありますので、弁護士や司法書士へご相談ください。
また、故人の相続財産の総額が負債の方が大きいのか、プラス財産の方が大きいのか分からない場合、限定承認という手続もありますので、その際も弁護士等にご相談されると良いと思います。

5. 遺言書とは

遺言書とは、遺言者が有する遺産の処分方法を指定をした文書です。
遺産の分割方法や相続人同士のトラブルを避けるために、法律にのっとり遺言書を作成する必要があります。

遺言書には

  • 自筆遺言証書
  • 公正証書遺言

などがあります。

自筆遺言証書は紙とペンがあれば好きな時に自分の遺言内容を書けます。他方、自筆証書遺言は形式的要件を欠いて遺言書が無効となったり、遺言書開封の際は裁判所の検認が必要であったりします。
公正証書遺言の場合は公証役場で作成しますので、形式的要件を欠いて無効になるということはほとんどありません。ただし、公正証書を作成する際に証人2名の立ち合いが必要であるなど、作成する際に多少の煩わしさと費用がかかります。
遺言書を作成すること方の財産や家族関係によって遺言書の内容には違いがありますので、遺言書を作成される場合は、弁護士・司法書士・行政書士などに相談されてみてください。

いかがでしたでしょうか。
相続に関する最低限の基礎知識をお伝えしましたが、皆様は既にご存知でしたでしょうか?

法律の知識は知っているのと知らないとでは、大きな差が生まれます。
正しい知識は自分を守りますが、間違った知識・認識は自分を危険にさらす場合もありますので、相続に関する手続きやご相談は専門家になさった方がご自身のためかと思います。

 

 

著作:日本はぐケア協会
監修:法律事務所リーガルアンサー
弁護士 安藤 晃一郎
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