結婚をされても様々な事情で離婚せざるをえないことがあります。
お子様が生まれてから離婚される方もいらっしゃることと思います。

お子様がいらっしゃるご夫婦が離婚という選択をした場合、非常に大切な問題の1つが「養育費」の問題です。

厚生労働省の調査によりますと、離婚の際に夫婦間で決められた養育費をきちんと支払っている割合は約20%と言われています。5人に1人しか支払っていないという計算になります。

そこで、離婚後に養育費が支払われないという事態を防ぐために必要なことをお伝えします。
養育費

1.口約束で終わらないこと

契約は口約束でも成立しますので、養育費を支払うという口約束の合意も契約としては有効ですが、口約束では、裁判などで養育費を支払うと合意があったことを証明することが難しいので不適切といえます。
ですので、口約束でも養育費をちゃんと受け取れるのであれば、口約束でも問題はありませんが、養育費の支払いを確保するという観点からは、口約束で終わらないことが望ましいです。

2.離婚協議書の作成で終わらないこと

離婚協議書とは、離婚する際に、養育費の支払いを含め、慰謝料や財産分与さらには子どもの親権など取り決めをまとめた文書をいいます。養育費については、いつ、いくら支払うのかなどを決め、双方が離婚協議書に署名押印するので、離婚協議書も契約書の一種です。

口約束に留まらずに離婚協議書を作成される方は多いと思いますが、離婚協議書も口約束よりは良いですがあまり有効な手段とはいえません。

なぜなら、(後述する公正証書ではない)私製の離婚協議書ですと、離婚協議書を作成しても、養育費が支払われない場合は、養育費の支払いを求める家事調停(裁判の一種)を起こさなければなりません。このように私製の離婚協議書を作成したにすぎない場合には裁判手続が必要となりますので、ご自身で対応されるのは難しいので、弁護士に依頼する必要が出てきます。調停などの裁判手続を起こすとなると、時間や労力がかかるばかりか弁護士費用も必要になります。
契約書

3.公正証書の作成

公正証書は、法務大臣が任命する公証人が作成する公文書です。

養育費の支払いに関しては、公正証書を作成しておけば、公正証書には裁判所の判決や調書と同じ効果があり、公正証書に記載されている約束を守らない場合は、裁判手続をとることなく、差押えなどの強制執行を行うことが可能です。
離婚協議書を公正証書で作成することもでき、公正証書であれば、裁判手続をとることなく強制執行を行うことができるのが私製の離婚協議書との大きな違いです。
すなわち、養育費の支払いを相手が守らない可能性が高い場合には、離婚協議書を公正証書で作成しておけば、裁判や調停を起こすことなく、強制執行ができるので、非常に有効な手段だと言えるでしょう。

4.強制執行するためには

強制執行(差押え)をするためには、養育費の支払いをしない相手方名義の預金、不動産、勤務先など相手方の財産の所在を知っておく必要があります。

預金は、銀行名・支店名・口座番号
不動産は、所在地・名義
勤務先は、会社名、所在地

などを、事前に調べておけば未払いの養育費を回収できる可能性が高まります。
強制執行を行う際には、強制執行を求める側(養育費の支払いを求める側)が、相手方の財産の所在を調査する必要があります。

5.まとめ

離婚する際は、養育費だけではなく決めるべき事項がたくさんあると思いますが、養育費の支払いを確保するためには、公正証書で離婚協議書を作成されることをお薦めいたします。

養育費は、子どもの養育(衣食住や教育)に要する費用を扶養義務のある相手方に請求できる費用です。子どもの為のお金なので、きちんと支払ってもらえる手段を事前に準備しておきましょう。
養育費は、子どもとの面会機会が少ない方ほど、支払われなくなる傾向にあるといわれています。親権を持っていない相手方と子どもを会わせて、親としての責任を忘れさせないことも重要なことです。

それでも、養育費が相手方から支払われなくなることもあるでしょう。養育費が支払われなくなったら、すぐに対応する必要があります。時間が経過すると財産が処分されたり、勤務先が変わったりと回収できる可能性は低くなる傾向にありますので、注意が必要です。

離婚する際、相手と揉めている場合、公正証書の作成について相談したい場合、支払われていない養育費を相手方に裁判手続で請求したい場合などはお気軽にご相談ください。

はぐケアサポーター

弁護士・不動産鑑定士  安藤 晃一郎
法律事務所リーガルアンサー 代表弁護士
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